「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第7回/月刊北國アクタス4月号

ysk2007-03-20

夢は、見られただけではただの夢でしかない。
読み解かれた時、新たな物語に生まれ変わる。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第七回。
前回までのあらすじ 少女マミコは祖父と二人、海辺の別荘で暮らしてきた。母のいない寂しさを感じながらも、祖父に愛され満ち足りた日々。ある朝、マミコは、渚に漂着した木馬と、壊れたその角を見つける。それを知らせようと家に向かうと、祖父が海岸に倒れていた。息絶えた祖父。驚愕のあまり記憶を失うマミコ。気がつくと、マミコは時の止まった海岸にいた。マミコのまっ黒な影が立ちあがって分身となり、悪魔の子マコと名のる。マコは角を抱き「世界の果てに名前と角を捨てに行く」と言い、海の上を走って水平線の彼方へと逃げていった……。
いよいよ幻想世界への旅立ち。“夢見”の少女は、“夢読み”の馬(一角獣で木馬)と二人、壮絶な光景のなか、奪われた“名前”と“角”を取り戻すため、もう一人の少女を追いはじめる。時の止まった海。ハルモニアへのゲートが開く。
「月刊北國アクタス」4月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。
小見出しは「旅立ち/迷い鳥/水読みの行/歓びの泉/水読み/視線/海の草原/木馬の子守唄/暖炉のある部屋/夢の鏡/闇の迷い子」。