「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第8回/月刊北國アクタス5月号

ysk2007-04-20

追いかければ、追いかけるだけ、
世界の果ては、彼方へと遠のく。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第八回。
前回までのあらすじ 島の雲母鉱山の老鉱夫は、雲母に映る夢の絵を砕き、世界に還すことを仕事としていた。ある日、愛らしい少女の顔を見つけ、老鉱夫はそれを手放せなくなる。
 その雲母に映じた少女は、こちらの世界で祖父と暮らしていた。ある朝、渚に漂着した木馬を見つけた少女は、大喜びで家に向かう途中、息絶えた祖父を見つける。驚愕のあまり記憶を失う少女。気がつくと、少女の黒い影が立ちあがり、悪魔の子マコと名のって「世界の果てに名前と角を捨てに行く」と海の上を逃げていく。残された少女ミコは、木馬のヨミと、マコを追って海を渡る。海の上には鏡が浮かび、そこに見知らぬ島が映じていた。二人は鏡の中へ……。
少女と馬は、冒険の舞台となる島になんとか到着。だが断崖に阻まれて上陸できない。先に島に入っていたもうひとりの少女は、不思議な行動を見せる。少女を目撃した島の男と、事態に動揺する老鉱夫は“世界の果て”の概念に直面する。
「月刊北國アクタス」5月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。
小見出しは「鏡の扉/雲母と銀鱗/雲母迷宮/西の岬 東の岬/宝石の葡萄/石の荒野/絵文字/遠い約束/白い貝殻/光の通信/月の舟/波の音」。