「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第11回/月刊北國アクタス8月号

ysk2007-07-20

二日月と三日月の夜に市で売られた物には、月の命が宿る。
それを食べ、身につける者は、月に護られる。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十一回。
前回までのあらすじ 少女は、祖父急逝のショックでマコとミコの二人の少女に分裂。マコはミコから名前と宝物の角を奪い「世界の果てへ捨てる」と言って消える。ミコは角を失った一角獣ともにマコを追い幻の島へ。それは、失われた記憶と角とを取り戻すための旅だった。
 島は、外輪山に守られた、海抜より低い土地だった。ミコは鉱山の老鉱夫に旅の支度を整えてもらい、「螺旋の町」へと向かう。
 その頃、島を統べる「月の神殿」では、占いで凶兆が出る。水鏡に浮かんだ「魔の童子」は、マコだった。神官は童子を捕らえよと命じる。
もうひとりの少女マコが、自身の肉体の違和感と折り合いをつけつつ、町へと到達する。そのあとからミコと馬が町に入ったために巻き起こる騒動。新月の後に開催されるエスニックな市の描写、盛大なチェイスなど、サービス・シーン満載の回。
「月刊北國アクタス」8月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。
小見出しは「水の匂い/洗濯場/雲母箱/四つの門/弓月市/石売りの男/安酒場/手配書/十五の月の紋/薬売りの男/漂流」。
⇒購入する(7&Y)