「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

番外:寮美千子編訳『父は空 母は大地』が盗用されている

  • 百五十年前のアメリカ先住民首長のスピーチをもとにした『父は空 母は大地』は、エコロジー思想の神髄を伝える絵本。それが建設族自民党参議院議員に、無断で、しかも「建設こそ自然との共生」というような主張の補強に使われているとなれば、具合が悪い。もし協力者だと思われでもしたら、著者としてはサイテーの事態だ。
  • 歴然たる著作権侵害なので、内容証明を出したら「知りません」という、謝罪なしの返答。そこで弁護士を通じて今度は警告書を送ったら、完全無視。
  • 警告書に書いてあった通りに事態を公表。東京新聞に記事が掲載された。
    岩井氏は三十日、本紙の取材に「文章は四、五年前に三重県の方から教えてもらった。指摘のあった本の存在も知らない」とした上で、「英文では広く一般に流布している」として著作権侵害に当たらないと述べた。その一方で「作家側の主張に納得できれば、その認識を改めることもやぶさかでない」と話した。
    東京新聞:岩井前議員、無断転載か 絵本の文、作家が警告書:社会(TOKYO Web)
  • 「父は空 母は大地」については、従来、ウェブやメールで、コピペの野良テキストが出回っていた。しかし、「メッセージが広まれば」という気持ちもあって黙認されてきた。
  • しかし、建設省河川局長などという開発推進の総本山の親玉のOBの国会議員が、開発の論理の正当化のために使うとなると話が違う。
  • 岩井国臣氏は、重ねての通知にもきわめて無責任な対応。百歩譲って、最初は本人の意図しない著作権侵害だったとしても、そのことを知ってからも侵害行為を継続しているのは悪質。
  • 今後の展開に要注目。
    http://ryomichico.net/seattle.html

父は空 母は大地―インディアンからの手紙

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