「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第13回/月刊北國アクタス10月号

ysk2007-09-20

満月の晩、月光がそこだけ強く集まる場所がある。そこには、月光を鋳込んだ瑠璃るり色の玻璃はりを蔵した塔が埋まっている。塔は時に幻の青い炎をあげ、砂漠の旅人を惑わす。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十三回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。ミコから記憶を、一角獣から角を奪ったマコは、「世界の果てへ捨てに行く」と海を渡る。ミコと馬は、マコを追って幻の島へ。島の月の神殿では、少女を「禍いの童子」として手配していた。追われる身となったミコは、命からがら町を抜けだし、渡し船で川を渡ろうとして流されてしまう。目の前には滝が迫っていた。一方マコは、砂漠から湧きだした水に溺れかけ「砂漠の舟人」の少年に助けられる。しかし、マコは少年を裏切り、小舟を奪って独り南へ向かう。
少女ミコは滝壺での凄まじい体験の後、木馬とともに砂漠に到達。夜になって驚くべき変化をみせる砂漠の姿を目撃する。もうひとりの少女マコは、ずいぶん苦労して砂漠を越えようとするが、肉体的にも心理的にも危険すぎる状況。そこへ、思わぬ懐かしい助けが現れる。

「月刊北國アクタス」10月号に掲載。オールカラー16ページ、挿絵3点入り。今月はさらに、愛読者プレゼント「著者手作り 魔子の第三の眼チョーカー」の告知あり。アクタス本誌に綴じ込みのハガキで応募。抽選で1名に。
小見出しは「透明な鱗/金の糸の網/木馬の歌う子守歌/鉈豆/失われた力/月の滴/砂の顔/月輪塔/回帰」。
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