「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第15回/月刊北國アクタス12月号

ysk2007-11-20

黄泉よみ帰りの森は、世界の果ての森。
世界はそこで終わり、そこから始まる。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十五回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。荒ぶる魂のマコは「世界の果て」へと逃走。ミコと馬はマコを追って幻の島へ。島の神殿では、占いにより、少女を「わざわいの童子」として手配していた。行く先々で問題を起こすマコは、とうとう砂漠に迷いこみ、死んだはずの黒猫ヌバタマの化身に助けられる。一方、一足遅れて島へとたどりついたマコは、砂漠の舟人の息子カイの手助けで砂漠を渡り、村へとたどりつく。村では、葬列が「世界の果てにある黄泉帰りの森」へと野辺送りに出発するところだった。
森の村の風俗。“世界の果て”をめざして進む葬列の鮮やかな色と動き、音色とリズム。少女ミコも賑やかな列にまぎれて歩いていく。やがて柩は一角獣の飾り物とともに激しい炎に包まれ、天へと還る。突然亡くなったという村長は、誰も知らないほど長生きだったらしい。その人物像と重なる島の神話が語られる。島の神話では、大長老と老鉱夫は双子の兄弟。村長はその兄ということになっていた。
一方、誰も知らないほど長く生きている月の神殿の大長老は、ミコの居場所を察知し、すぐさま追手を放つ。誰も知らないほど長く生きている雲母掘りの老鉱夫は、坑道に異変を感じている。
もうひとりの少女マコは、黒豹の姿で現れたヌバタマとともに砂漠で絶体絶命の危機に瀕していたところ、なんとか活路を見出す。
ミコを村へ送ってきた砂漠の舟人の少年は、ミコに再会を誓い、別れを告げる。ミコには、しなければならないことがあるのだ。

「月刊北國アクタス」12月号に掲載。オールカラー16ページ、挿絵5点入り。
小見出しは「葬列/潮騒/魂の乗り物/神話/変調/饗宴/魔の珠/二連星/風紋/約束/地下水路/聖なる灰/追手」。
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