「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第16回/月刊北國アクタス1月号

ysk2007-12-20

空の底にひしめく真昼の星のように、
魂たちは、地の底で輝いている。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第十六回。
前回までのあらすじ 祖父急逝のショックでマコとミコの二人に分裂した少女万美子。荒ぶる魂のマコは一角獣の角を奪って「世界の果て」へと逃走。ミコと一角獣はマコを追って幻の島へ。島の神殿では占いにより少女を「禍いの童子」として手配していた。砂漠に迷いこんだマコは、黒猫ヌバタマの化身に助けられる。ミコは砂漠を渡って村長の葬列に参加、女装の男・極楽鳥とともに「世界の果ての黄泉帰りの森」へ向かう。島の神話では、神殿の長老と老鉱夫は双子の兄弟、村長はその兄で、世界のはじめから存在しているという。島の正体は?
もうひとりの少女マコは黒豹のヌバタマとともに過酷な砂漠を横断しようとしている。地上を避けて地下水路を進行していると、突然水中から出現した黒い影に襲われる。
少女ミコは村長の野辺送りの葬列とともに「世界の果ての森」へと向かう。同じく葬列に同行する「極楽鳥」という人物にさまざまな話を聞く。かくも複雑な、心のかたち、人のかたち。ふたりで遺灰を撒くうち、馬に乗った「月の神殿」の追手たちに発見されてしまう。
一方、ヌバタマのおかげで黒い影の襲撃を逃れた地下水路のマコを、今度は猛烈な鉄砲水が襲った。

「月刊北國アクタス」1月号に掲載。オールカラー15ページ、挿絵3点入り。
小見出しは「真昼の星/幻の森/夢殿/黒い手/地の虹/瀝青/散華輪廻/子鹿/散骨/鼓動/出発/お守り/水呼び/濁流」。
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「イベントスケジュール」のページに上出慎也「夢見る水の王国」原画展(1月19日〜2月18日、金沢文芸館)の案内あり。