「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

番外:「父は空 母は大地」著作権侵害訴訟が決着!

ysk2008-01-17

【裁判上の和解】民事事件において、裁判所の面前でなされる和解。(略)
調書に記載されると確定判決と同一の効力が生ずる。
   ――広辞苑第五版より
原告もびっくりのスピード決着。
前回までのあらすじ 『父は空 母は大地』の編訳者・寮美千子は、弁護士を通じて送った警告書を完全無視した岩井國臣前議員に対し、当該文章の使用停止と賠償金の支払い、謝罪などを求めて東京地裁に提訴した。訴訟代理人著作権問題のプロ、福井健策弁護士。法律的には勝訴は間違いない見込みだが、しかし相手は警告書を無視してくるような人物だ。どんな展開になるかは予断を許さない。

  • 9月18日に提訴して、11月6日が初公判。12月11日に第1回の「弁論準備」といって資料整理のための打合せみたいなことがあって、そのとき裁判長から和解勧告。翌週の20日の第2回弁論準備で和解成立。訴訟提起から3ヶ月で急転直下の決着となった。1年ぐらいはかかるものと覚悟していたのだが。
  • 今回の和解内容は、ほぼ最初の訴状の請求に沿った内容。事実上、原告の全面勝訴と言ってよい。
  • 和解(裁判上の和解)というのは、調書に書かれた内容に、確定判決と同じ効力がある。つまり、地裁判決だとお互い控訴する可能性があるが、和解だとそれがなく、和解の時点で裁判は完結する。また、判決では「謝罪する」といった項目は盛り込みにくいのだが、和解だとそうでもない。岩井氏のサイトには既に謝罪文が掲載されている(今後1年間継続)。
  • 岩井國臣氏は、第三者が無断で改変した「父は空 母は大地」の文章を、出典の確認をとらずに著書やサイトに載せたり、講演で使ったりして、こんな結果になった。友達が「自分が書いたものだ」と言ってくれた文章だからといって、出典の確認を怠ってはいけない。今やだいたいのところはちょっと検索するだけで見当がつけられる。当然あるべき手間を惜しむと、結局は損だ。
  • ところで、次の問題はその「第三者」だ。裁判所は、訴えの内容に入ってないことについては判断を示さないので、今回、その第三者に罪があるかどうかは言ってないが。さて、どうしたものか。
  • 実は、今回の裁判で名前が浮上した人物のほかにも、自分が訳したと称して寮美千子版の「父は空 母は大地」を講演などで使っている人がいるようなのだ。なんでちゃんと言わないで「自分が訳した」とか言っちゃうのかなあ。心の中に、どういう病理があるのかなあ。
  • 今回のプレスリリースはこちら(Cafe Lunatique)