「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第9回/月刊北國アクタス6月号

ysk2007-05-20

夢の棲む島は、水の下にある。
島の人々は、それを知らない。
   ――ハルモニア博物誌より
連載第九回。
前回までのあらすじ 台風一過の朝、渚に漂着した木馬を見つけた少女は、一緒に暮らす祖父に知らせようと走って帰るが、祖父は倒れ、亡くなっていた。ショックのあまり、記憶を失った少女。すると、少女の分身と思われる少女マコが、少女から名前を、木馬から角を奪い「世界の果てに捨てる」といって、海の彼方へ逃げていった。残された少女ミコは、木馬とともに、謎の少女マコを追跡して、幻の島に渡る。
 島には、二人の少女の顔の映じた雲母を持つ、雲母掘りの老鉱夫がいた。一足先に着いたマコは、そのうちの一枚を砕き、すでに逃げていた。
島に上陸する少女と馬。そして、老鉱夫の話から、島の全景が明らかに。いたるところで反復するイメージが、物語をあらゆる方向に重畳し、みるみる厚みを増していく。
「月刊北國アクタス」6月号に掲載。オールカラー16ページ、挿絵3点入り。今月はドカンと巨大な見開きが入って1頁増。
小見出しは「夢の扉/秘密の洞窟/夢の歩行者/疾風/闇の呼び声/道案内/結晶の音楽/光の晶洞/阿修羅の舞/雲母鏡/三つの聖痕/世界の果てを見た話/強弱/二日の月の子守り歌/石蹴り」。