「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

週刊ポストに書評掲載

  • 週刊ポストで紹介されました。
    インドで彼女を待つものとは? 『楽園の鳥 カルカッタ幻想曲』寮 美千子

     離婚によって心に傷を負ったミチカは、かつてバーで出会ったニュージーランドの青年ディオンの<あそこに行くと、自分が生きてるって体中で感じられる>という言葉に引き寄せられ、共にカルカッタへ旅立つ。だが現地に着くと彼はミチカを忘れたようにビジネスと称して旧式バイクの買い付けに走る。ミチカは、<これ、おいしいね、おや、きょうは雨だね、と日々の些細な思いをやりとりしたい。ただそれだけのことなのに。/それだけのことを手に入れるのが、どうしてこんなにもむずかしいのだろう>と嘆くが……。アジアを舞台に自分の存在理由を探す旅を続ける女性を描く長編。(慎)
    小学館週刊ポスト」2004年12月17日号(12月6日発売)「話題の新刊はこれだ!」178頁
    書影入り(帯なし)、「装丁/平野湟太郎 装画/門坂流」のクレジットもあり。