「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

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    楽園の鳥 カルカッタ幻想曲』が第33回泉鏡花文学賞を受賞
    相模大野在住 作家・寮 美千子さん 1番欲しい賞だった

     相模大野在住の作家・寮美千子さんの作品がこのほど、“ロマンの薫り高い文芸作品”を表彰する第33回泉鏡花文学賞を受賞した。受賞作は「楽園の鳥 カルカッタ幻想曲」(講談社)。深い哲学性が高く評価された。これまで絵本・童話を中心に執筆を続けてきた中で、初めて大人の読者向けに書いた小説だ。
     「想定外。奇跡の受賞です」。同賞の選考会が開かれた10月17日、夜8時頃に寮さんは自宅で受賞の一報を受けた。同賞は寮さんにとって特別なもの。「泉鏡花の、単なる幻想性だけでない文学性の高さに心ひかれていました。1番欲しい賞だった」。
     同賞は毎年、「泉鏡花の文学の世界に通じるロマンの薫り高い作品」を対象に、同賞推薦委員の推薦作および推薦人のアンケートを参考に数作品から選考される。これまでにも吉本ばなな柳美里らが受賞している。
     同作はもともと、平成13年3月から同14年4月までの公明新聞での連載小説。30代半ばの女性が心の問題を抱えながら、インドやタイ、ネパールを旅する物語だ。同選考委員長の五木寛之さんは「哲学的な時間、空間を感じさせる詩のような文体にほれ込んだ」そう。
     寮さんは今後も絵本などの執筆を続けつつ、幻想小説も創作していきたいという。「仕切り直しですね。これからまた新たな領域の仕事をしていけるのが嬉しい」。なお、11月22日には受賞式が行われる。
    寮美千子さん…1986年に毎日童話新人賞最優秀賞を受賞して、童話作家としてデビュー。SF小説・絵本など、幅広いジャンルで活躍。
    【書影・顔写真あり】
    「タウンニュース」相模原広域・相模大野広域版 2005年10月27日号