「夢見る水の王国」連載第2回/月刊北國アクタス11月号
雲母は虹の隠れ家、極光を宿す子宮。連載第二回。
すべての雲母には、夢を吸収するという作用がある。
――ハルモニア博物誌より
前回のあらすじ 香月万美子は新進のオペラ歌手。音楽ホールの柿落としのコンサートに出演するため、小さな港町・天羽にやってくる。そこは、幼い頃、大好きな祖父・香月耿介と二人で暮らした思い出の町だ。十歳の時に祖父が亡くなり、万美子は母のいる金沢に引き取られて育った。今回は万美子の幼少期の話、雲母鉱山の話ほか。投稿ページには、第一回を読んだ読者の、なかなか熱の入った感想が。
コンサートの前の晩、万美子は、思い出の家を訪れ、一人の青年に遭遇する。彼は、町の郵便配達夫の養子。海辺の家の世話をしながら、流木を使った現代彫刻に挑戦していた。
コンサートの日の朝、二重の虹がかかる。万美子も青年も、虹を翔る龍を幻視し、その彼方に、あるはずのない島影を見ていた。
「月刊北國アクタス」11月号に掲載。オールカラー、挿絵4点入り。
小見出しは「仮面舞踏会/流木/海辺の墓守/日時計の灯台/乳母車/笑う子/南の島からの手紙/虚ろ舟/桜/さかさまの泉/雲母鉱山/夢の鉱床/翼の折れた天使/ランタンの灯火」。