「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第2回/月刊北國アクタス11月号

ysk2006-10-20

雲母は虹の隠れ家、極光オーロラを宿す子宮。
すべての雲母には、夢を吸収するという作用がある。
       ――ハルモニア博物誌より
連載第二回。
前回のあらすじ 香月万美子かつきまみこは新進のオペラ歌手。音楽ホールの柿落としのコンサートに出演するため、小さな港町・天羽あまはにやってくる。そこは、幼い頃、大好きな祖父・香月耿介こうすけと二人で暮らした思い出の町だ。十歳の時に祖父が亡くなり、万美子は母のいる金沢に引き取られて育った。
 コンサートの前の晩、万美子は、思い出の家を訪れ、一人の青年に遭遇する。彼は、町の郵便配達夫の養子。海辺の家の世話をしながら、流木を使った現代彫刻に挑戦していた。
 コンサートの日の朝、二重の虹がかかる。万美子も青年も、虹をかける龍を幻視し、その彼方に、あるはずのない島影を見ていた。
今回は万美子の幼少期の話、雲母鉱山の話ほか。投稿ページには、第一回を読んだ読者の、なかなか熱の入った感想が。
「月刊北國アクタス」11月号に掲載。オールカラー、挿絵4点入り。
小見出しは「仮面舞踏会/流木/海辺の墓守/日時計灯台/乳母車/笑う子/南の島からの手紙/虚ろ舟/桜/さかさまの泉/雲母鉱山/夢の鉱床/翼の折れた天使/ランタンの灯火」。