「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

『文学賞メッタ斬り!リターンズ』で紹介

  • 楽園の鳥』が、『文学賞メッタ斬り!リターンズ』大森望豊崎由美、パルコ、2006年8月刊)で紹介されました。
    といっても本編でなく「巻末特別付録 ’04〜’06年版・文学賞の値うち 文学賞受賞作品を、点数で斬る!」というページ。以下のような点と短評でした。
    57点 豊崎
    泉鏡花文学賞というから、どんな幻想が――と期待して読んでみたら、あなた、これがもう真性だめんず小説だったんですの。金にだらしない夢みる夢男くんから、かっとなっちゃ暴力をふるう野獣男へと、ダメ外国人に情をうつしていくヒロインの壊れかけの心象風景を、これでもかと描き尽くして呆然。カルカッタには死んでも行きたくないと思いました。
    文学賞メッタ斬り!リターンズ』377頁
    ……百戦錬磨の豊崎氏にあって「呆然」なんて、なかなかの評価であります。事実上、書評家の人がきちんと読んで評価してくれたのはこれが最初*1。大森氏の評価がなかったのは残念。

*1:公明新聞に出た書評はキチッとしてたけど、掲載紙なので除外