「楽園の鳥」+「夢見る水の王国」メモ

松永洋介が作成した、寮美千子の長編小説『楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―』(講談社2004)と、その作中ファンタジー『夢見る水の王国』(上下、角川書店2009)についてのメモ。作中のガンジス神話は『天からおりてきた河 インド・ガンジス神話』として絵本化(山田博之・画、長崎出版2013)。

「夢見る水の王国」連載第4回/月刊北國アクタス1月号

ysk2006-12-20

頭蓋に月が棲んでいるので、猫の目は光る。
王の闇には、双子の月が巡る。
       ――ハルモニア博物誌より
連載第四回。
前回までのあらすじ 会計士を引退し、海辺の別荘で黒猫を友に悠々自適の暮らしをしていた香月耿介かつきこうすけのもとに、突然、娘の美沙みさが赤ん坊を抱いてやってきた。半年後、美沙は赤ん坊のマミコを置き去りにして、ライターの仕事に復帰してしまう。マミコは祖父に愛され、すくすくと育つが、夢の中、繰り返し、幻の島影を見る。それは、古文書にも出てくる伝説の島だった。
 一方、夢に見られた幻の島では、雲母鉱山の老鉱夫が、幼女の顔が浮かぶ雲母を掘りあて、その子にすっかり心を奪われていた。
 二つの世界は呼応し……。
今回は猫の話。最初から最後まで、テッテ的に猫の話。びっくりするぐらいネコ話。海岸の洞窟には、不思議な水の湧く泉。岬の灯台から放った紙飛行機は、上昇気流に乗って、くらくらするほどまぶしい空の彼方へと消えていった。投稿ページには、毎回待ち遠しいという読者の声が。
「月刊北國アクタス」1月号に掲載。オールカラー、挿絵3点入り。
小見出しは「猫の王/散歩猫/青い海 白い家/ぬばたまの闇/命の水/青い舌のトカゲ/水の命/旅立ち/埋葬の日/贈り物/石の涙/十五億回の拍動/青いポスト/姫般若/夢の音楽/百年後の桜」。